​NPO法人ラフト

理事長 喜本 由美子

 

 障害のある人のアート活動や創作活動について、正直なところ、ずっと懐疑的でした。まっすぐ書きたかった線が曲がってしまっても、「それも個性」と言われてしまう。障害者「らしい」作品なんて言葉を聞いたのは一度や二度ではありません。そんな言葉が日常的に障害のある人の支援をしている人の言葉だったりすると、もう障害者の「らしさ」っていったいなんなんだ?、そんなものを「表現」と呼ぶことに、嫌悪感を抱くことすらありました。

 ある日、法人設立から関わってきた利用者さん達が描いた作品達に出逢いました。描かれた作品を目にして、その筆使いに、その色選びに、何度もドキッとさせられました。10年以上、いろんな日々を一緒に過ごし、一緒に笑い、時に苦しい日々も一緒に乗り越えてきたわけですが、でも、知りませんでした。彼らがこんな作品を描くとは。

 最近の障害者支援においては、「計画」や「目標」が大切にされているとも言えます。支援計画や支援目標。そこをまったく否定するつもりもなく、実際にとても重要なところだと思っています。

 一方で、どんどん感じていくのです。重い障害のある方、特に言葉が上手に表現できない方の場合、常に誰かの...家族だったり支援者だったり社会だったりが求める「彼・彼女」になることが目標とされてしまうことを。いつの間にか、周囲の希望や期待が、その人の言葉として表現されてしまうことを。でも、それは、やっぱり違う。自らの言葉は自らが持っているのです。

 彼らの作品は、私の知らない彼らを教えてくれました。そのことがうれしい。私が望む彼らに出会うよりも、本当の彼らに出会いたい。あなたがあなたであることを大事にしたい。そして、これからも色々教えてほしい。「生きる」こととか、「生きる」ことの意味とか、「生きる」ことの可能性とかを。

 そんな思いをもって、NPO法人ラフトは、令和元年12月、船橋市高根台の地に「コーラル」を開設いたしました。